荷物・郵便電車

 かつて国鉄時代では旅客営業の一部として扱っていた小荷物輸送が盛んで、電車においても旧形国電からの改造車を中心に数多くの荷物・郵便車が存在していました。しかし、70年代後半に入ってからはいわゆる「宅配便」の進出により国鉄の荷物輸送は急速に減少していきます。57-11・59-2・60-3改正が行なわれる度に列車削減・編成縮小が進み、ついには61-11改正で房総地区での新聞輸送以外の荷電は全廃されJR化以降残った荷電は前述の房総用クモユニ143のみという状況となりました。また最盛期は113系・115系普電に併結される荷電が多数見られたものですが、やはり荷物輸送の縮小化により60-3改正で中京地区を除きほぼ全廃されています。

 同様に国鉄末期には13両在籍していた郵便電車ですが、郵政省(現・日本郵便)所有の私有車だったこともありJRには譲渡されず1986年10月までに全車が廃車となっています。


 民営化直前にほとんどの車両が廃車・改造により消滅し、JR化以降残った車両もクモユニ143以外は1M方式の旅客車に改造されるか、牽引車同然の使われ方をされるようになりました。
 ここで紹介するのは主に高崎線・上越線・信越線で見られた車両が中心です。
 改造は1987(昭和62)年〜2019(平成31)年です。




§1.クモニ143

 53-10改正において信越本線用として登場したのがクモニ143です。同改正以降主に上野〜長野間にて運用されクモニ143+クモユ141+115系という組み合わせで上野〜高崎間は高崎線普電に、高崎〜長野間は信越線普電に併結されて運転されました。

 ですが、57-11改正で上野駅鉄道郵便局が廃止された事に伴い上野口の荷物扱いは隅田川駅に移管されて高崎線115系との併結は廃止され、同改正以降は荷電のみ7両編成(隅田川寄りから順に長野クモニ143−クモユ+長岡クモニ83 4両−クモユ:クモユは141と143の2通りがあり)で隅田川に入線する運用に変更されています。更に東北・上越新幹線上野開業となった60-3改正では5両存在していた長野のクモニ143は全車転出となり、2両は長岡に、3両は大垣に移り長岡に転属した2両は上越線に入るようになりました。

 模型は1982(昭和57)年に発売されたKATO製です。特に切継ぎ等の改造は行なっていません。




 クモニ143-3〜5

 車体関係は改造を特に行なっておらず以下に紹介する改造車に合わせた塗装のやり直しのみです。製品は室内灯非対応ですが、自作の白LED室内灯(ブリッジ整流式・抵抗入り)を取り付けています。
 室内灯取付座改造がメインになります。
 床下・台車は製品のままで台車はDT21を履いています。



§2.クモユ141

 国鉄時代の53-10改正で長野地区〜首都圏間の荷電による荷物・郵便輸送が始まりクモニ143はこのために新製されましたが、クモユ141の方はそれまで関西地区〜首都圏間で使用されていた宮原区所属車全車(6〜10の5両)を転用することとなり、長野運転所に転属して信越線スジでの運用が始まりました。
 ↑のクモニ143の項で述べた通り53-10改正からは信越線や高崎線の115系普電に併結(高崎線の長野直通普通列車はないので高崎で組み替える)の形で上野まで入線していましたが、57-11改正以降は上越線経由上沼垂(かみぬったり)駅発着の荷電に併結する形で隅田川駅まで足を延ばしていました。

 一方、長岡車の1〜5は新製配置は新前橋区でしたが43-10改正(いわゆるよん・さん・とう)で長岡に転属となり、上野〜長岡間の上越線直通の高崎線普電を中心に運用に入りました。長野車とは異なりクモユ+115系という運用も少数ながら存在しています。57-11改正以降は長野車と似たような運命を辿ることとなります。

 クモユ141に限った話ではありませんが、信越線横川〜軽井沢通過の関係で長野車と長岡車では車両の向きが異なります。





 クモユ141-7

 郵政省(後の日本郵政公社→現・日本郵便)所有の私有電車です。実車は111・113・115・70・80系と併結可能とした関係で抑速ブレーキは制御可能ですが発電ブレーキを搭載しておらず、主抵抗器は自然冷却式で送風機が付いておりません(発電ブレーキがないという理由で1982年の増備車はクモユ141をそのまま増備せずクモユ143を新設計した経緯がある)。

 模型はクモニ143を種車に改造を行ないました。乗務員扉を移設した後オユ10の側板を切り継ぎます。流用するオユ10の窓の形状の関係で1両の改造につきオユ10の車体および窓ガラスが2両分必要となります。
 クモニ143とオユ10を切り継ぐと車体の縦方向の寸法が異なり段差ができますので切り継ぎに際しては雨樋を基準とし、オユ10の裾部に適当な厚さのプラ板を接着して調整します。
 また、103系用のMMルーバー(タヴァサ製)を片側2箇所ずつ取り付けます。

 ヘッドライトですが、クモユ141の場合はクモニ83・143とペアで115系に併結するのが前提のため、ヘッドライトは外しています。





 クモユ141-7(反対側)

 反対側はこんな感じです。
 屋根はKATOのモハ103(非冷房の初期製品)を使用し、車体と屋根は接着しています。
 KATOからオユ10発売に伴い一部側板と屋根をを張り替える更新改造を受けた車両ですが、1993年改造ということもあり老朽化が進んでいたので2011年に塗装全剥離を含む徹底した更新改造を行ないました。画像は更新前のものです。
 床下は自然冷却式抵抗器で適当なものがなかったのでクモニ143のままです。
 台車は103系用のDT33に交換する関係で取付がビス止めに変更になり、床板のボルスタ部を改造しています。

 クモユ141は長野・長岡各2両の合計4両を改造で製作しました。



§3.クモユニ143

 身延線で使用されていた旧形国電の新性能化のため1981(昭和56)年に登場した荷物・郵便電車です。クモハユニ44置換えのため4両が登場し、同時に身延色を纏った115系2000番台が登場しています。

 60-3改正で身延線の荷物・郵便輸送は廃止され全車が身延色のまま長岡に転属し、活躍の舞台を高崎線・上越線に移し今まで使用していたクモニ83を置き換えました。同改正では隅田川〜上沼垂・長野間に運転されていた荷2048M〜荷2047M (同改正で荷2044M〜荷2043Mに変更)はそれまでの7連から長野クモユ+長岡クモニ143+クモユニ143+クモユ (前述のようにクモユは141と143の2通りがある)の4連に短縮されましたが全新性能化が達成されています。同年(1985年)6月より湘南色への色替が始まり徐々に湘南色化されていきましたが、次の61-3改正では長岡のクモニ143+クモユニ143の2連に短縮され、更に次の61-11改正では国鉄の荷物・郵便輸送が全廃され同改正以降例外的に新聞輸送が残った房総地区に転属することとなり高崎線・上越線での運用を終了しています。61-11改正時点では1のみが身延色で残りましたが幕張転属後はその身延色の1が民営化後の1988(昭和63)年1月にスカ色化され、残りの3両は63-3改正を挟んで同年6〜10月にかけて順次スカ色化されています。

 模型はクモニ143からの改造車とクモユニ147からの改造車の2種が混在し、実車通り4両が存在するオールキャストの構成となっています。湘南色の2・3と身延色の1・4の在籍です。


§3-1.クモニ143改造車

 KATOのクモニ143が種車です。1993(平成5)年の改造です。

 ↑のクモユ141と同様にクモニ143の車体側面にオユ10の側板を切り継ぎますが、クモユ141よりは切り継ぎが小規模で済みます。
 2エンド側の裾部にはステップ(?)を取り付けます。
 また屋根は1パン化し、押込型ベンチレータを取り付けます。ベンチレータは改造当時(1994年)は分売パーツというのは存在していなかった頃でしたのでKATOのキハ47から削ぎとって使用しました。




 クモユニ143-1

 元々このクモユニ143-1は湘南色仕様で製作した車両ですが、2011年に実車の新製当時の塗色である身延色に変更しました。
 車体は塗装全剥離を実施し下地を仕上げてから赤2号(交流機関車の赤)を吹きます。白帯は実車同様(新製当時)、塗装合理化の意味もあり塗装は行なわず、GMステッカー四隅の印刷されていない部分を利用して貼りました。幅は側面が2mm、前面は1.5mm弱です。
 白帯は塗装するよりもステッカーで表現する方がキレイに仕上がると判断しこの方法を採用しています。なお実車の白帯は正確にはクリーム10号(185系・415系白電等のベースカラーに使われている白)です。

 扉部分の窓は実車では開いている事が多かったので(特に春から夏場)、模型でも一部の窓を全開にした状態を再現しています (本当は荷物扉部分の窓ガラスが必要数揃わなかったために止む無く行なった苦肉の策ですが)。
 この車両も改造から20年が経過し老朽化が目立ってきたので、身延色への変更時に車体塗装全剥離を含む車体補修を徹底した更新改造を行なっております。塗装変更を機に身延線用となり、同線用115系2000番台と併結させる仕様となっておりヘッドライトユニットは2エンド側(パンタ側)のみに装備しています。



§3-2.クモユニ147改造車


 KATOの飯田線シリーズの一環(?)として2018年に発売された119系ですが、同時にクモユニ147も発売されました。

 製品のクモユニを見て真っ先に思いついたのがクモユニ143への改造ですが、クモユニ147と比較し部分的に外観が異なり製品のまま色替で対応する・・・という訳にはいかず、細かい改造を行なってはいますが車体の切継ぎが無いので比較的苦労せずに纏められます。
 改造は車体の両妻部と床下機器、台車に集中しており屋根は製品のままです。全車共通で連結器はTN密連に変更し、スカートはクモニ143用を一部加工し複数個所で瞬着で接着する方法を採りました。接着にあたっては接着剤が効きにくい材質なので接着面を傷つけて表面を荒らし、アロンアルファプライマーを塗布する下地処理を行っています。
 台車はDT21Cですが、製品はDT21を装着しているので基礎ブレーキ装置を片押し式に変更します。本当は103系用DT33のスナップオン式台車(最近のKATOの標準になっている)があればいいのですが、まだ製品化されていません。そこでDT21の両抱き式ブレーキを片押し式に変更するため徹底したモールドの撤去を行なって対処します。
 また、2エンド側妻面裾にある3枚の所有/製造/改造銘板ですが、クモユニ143は新製車で銘板は所有/製造の2枚のみのため、一番上の1枚は削り取ります。







 クモユニ143-2・3

 種車のクモユニ147とそっくりで一見どこも弄らずに済みそうな感じですが・・・まず目に付くのが先頭部分のタイフォンで、クモユニ143は寒冷地向けの蓋付きのタイプが付いています。
 製品はヘッドライトケースリムと一体部品になっていますのでタイフォンのモールドを削り取ってしまい、その結果孔が開く事になった車体側にBONAのP-403(気動車タイフォンカバー寒冷地用)を取り付けます。

 次に気になるのが床下の主抵抗器で、元々が101系の改造車なので電動発電機と主抵抗器冷却用のブロアーを兼用させたMR155となっています。クモユニ143は143系標準のMR133Aを装備しており主電動機4個分の抵抗組み合わせで済むので一般の主抵抗器よりは線路方向の寸法が幾分スリムになっています。
 模型は適当なパーツがないのでGMで修理用部品として分売している主抵抗器 (店頭で見る限りでは品番は設定されていない)を使用し、寸法を詰めて使用しています。それ以外にもCPの形状や配置が実車と異なるわけですが、床下一式はヘッドライトスイッチが内蔵されているタイプでこれ以上弄ると不調になりそうな感じ(?)なので主抵抗器を取り替えた以外はそのままにしています。

 荷物扉にある手すり(?)ですが、湘南色車は試験的に銀色を差しています。







 クモユニ143-4

 こちらは60-3改正直後の高崎線・上越線の再現のために追加で改造した車両です。湘南色車とは特に作り分けを行なっておらず、共通仕様となっています。

 クモユニ147改造車は全車共ヘッドライトユニットは製品のままとして両エンドとも点灯可能です。



§4.クモニ83

 上越スジの荷電で多数派なのがクモニ83です。長岡区の配置で、荷2048M〜2047Mで上沼垂〜隅田川間を4両編成で1往復する運用が有名ですが、60-3改正までは上野・高崎〜長岡間で高崎線・上越線の115系普電に併結する運用もありました。
 0番台が多数派ですが、低屋根800番台も少数ながら在籍します。

 模型は嘗てはGMキットを組み立てる以外に手段はなく0番台が中心とならざるを得ない状況でしたが、2013年にKATOから張上げ屋根タイプの800番台初期車が発売されたので、これを種車に湘南色を登場させました。



 クモニ83002

 GMのクモニ83キットをストレートに組みました。
 パンタはGMのPS13、床下はKATOのモハ80、台車はKATOのTR34を使用しています。
 屋上機器の配置はキット付属の説明書通りで、パンタ下からビヨ〜ンと延びている高圧配線はKATOクハ411用検電アンテナから配線部分を切り取って透明ゴム系接着剤で固定しました。


 窓は荷物扉部分を含め元のキットにあるサッシなどのモールドを全て撤去し、孔だけにします。窓ガラスは側窓についてはサロ110用を、荷物扉はマニ50やクモニ143から調達した窓を利用し、側窓は適当に寸法を切り詰めて車体にはめ込んでから裏側からGM製の保護棒印刷済の窓ガラスを貼ります(ただし休憩所部分を除く)。トイレ窓はKATO急行形電車用を使用し、中央にピラーを1本追加します。以上窓関係のこの2つの加工はGMクモニ83・クモユニ74キットを使用している車両全車に共通の工程です。


 カプラーはTOMIXのTM密連(マウントタイプ)を取り付けましたが、なななんと台車とTMカプラーが干渉するという不具合が発生したので、泣く泣く台車のブレーキシュー(パンタ撤去側のみ)を切ってしまいました。まさに断腸の思いです・・・
 前面ガラスはKATOのクモニ83・クモユニ82・クモニ143用を使うのがベストですが、ワイパーの形状を気にしなければクハ103ATC用も使用出来ます。見た目は非常にスッキリと仕上がりますが、この場合は車体の前面窓付近を現物合わせで若干広げる必要があります。





 クモニ83010

 動力車となっています。
 動力装置および台車はKATOのクモニ83用を流用しています。カプラーはTN密連に変更するため台車枠の改造を行なっており、スノープロウはそのまま再使用しています。

 模型は53-10改正〜55-10改正において高崎線・上越線で見られた荷2048M〜荷2047M(横浜羽沢〜隅田川〜上沼垂間、クモニ83の4連)を再現するための専用の動力車となっています。中間に組込む事を前提にしていますのでこの車両はヘッド/テールライトは装備されていますがスイッチはOFFにしており、装備はあっても殺した状態です。フライホイール付きなのでキット組立車とは思えないほど走りは抜群です。





 クモニ83014

 ↑のクモニ83010と同様、クモニ83の後期車ですのでパンタは1台のみです。
 ナンバーは暫定で83001となってますが83014に変更する予定です。

 この車両のみ両エンドともヘッド/テールライト付です。





 クモニ83802 (初代・現存せず)

 さて、一番作り応えがあるのがクモニ83800張り上げ屋根タイプです。
 実車では1966(昭和41)年大井工場で改造された83800〜83805の6両が該当します。

 車体は前面を除いてGMクモニ83キットの素組みが基本ですが、屋根は同じくGMのモハ114-0番台用2個を使用してまとめています。パンタは↑のクモニ83002と同様に1980(昭和55)年に1パンタ化された末期のスタイルとし、パンタ撤去部分にパンタ用碍子を追加します。

 床下はモハ80とクハ210(共にKATO製)のものを切り継ぎ、ヘッドライトユニットはクハ210用を使用しています。 ヘッド/テールライトレンズはKATO165系シールドビーム車用を使用しました。
 窓は全てR窓に改造し、窓ガラスは上記のクモニ83同じくKATOサロ110用を加工して取り付けましたが、四隅にRがついているので若干寸法を切り詰めます。

 2013年にKATOからスカ色のクモニ83800番台が発売され、これを湘南色に塗り替えたクモニ83802を登場させたので画像のこの車両は中央東線に転属しクモニ83800後期形に再改造しました。





 
クモニ83802 (2代目)

 2013年に発売されたKATOのクモニ83800(初期の張上げ屋根タイプ・スカ色)を湘南色に塗り替えました。

 改造は屋根に集中しており、前述の通り1980年以降の末期スタイルにするためパンタ1台を撤去し、ホイッスルカバーを取り付けます。パンタ撤去跡はパンタ脇のランボードのみとし、スッキリとした外観となっています。
 台車はTN密連に改造してあります。





 
クモニ83804

 クモニ83800張上げ屋根タイプをもう1両作りました。

 この車両の最大の特徴は湘南色でありながら塗り分けラインがスカ色と同位置となっている点で、湘南色のクモニ83の中でも異様な外観となっています。↑のクモニ83802と比較すると外観の違いがお解かり頂けると思います。

 この車両も1パン化改造を行っています。パンタ固定用の穴は埋めますが、↑のクモニ83802とは異なりパンタ孔以外のパンタ台碍子やランボード、配管等のモールドは撤去せずそのままとなっています。また、上越仕様とも言えるホイッスルカバーを取り付けます。
 台車ですが、画像撮影時点では製品のKATO密連のままです。後にTN密連化改造を行ない他車と連結出来るようになりました。


 塗装に特徴がある804ですが、まさかKATOから製品化されるとは・・・



§5.クモユニ74・クモユニ82湘南色

 新前橋区の荷電は前述の長野・長岡車とは異なり隅田川〜北関東各地を結ぶ新聞・雑誌輸送短距離運用が中心で、隅田川〜宇都宮・高崎間の2連での運用(隅田川〜大宮間は双方併結の4連)がメインです。また、両毛線115系に併結する運用がある他、新前橋区115系の工場入場車(主として7連側に連結される細切れT100番台の3両)の牽引車として東北貨物線経由で大井工場へ足を延ばすケースもありました。余談ですが57-11改正前の小山・新前橋に所属する115系・荷電の検査は現在の大宮ではなく大井工場(現・東京総合車両センター)の担当です。
 両毛線では115系の偶数クハの側に荷電を1両連結します。

 57-11改正で新前橋の荷電は廃止されクモユニ82は廃車となりましたが、クモユニ74の方は国府津に転属し活躍の舞台を東海道線に移し、国府津の0番台の一部を置き換えました。





 
クモユニ74211

 クモユニ74というと東海道線や房総地区というイメージが強い車両であると思いがちですが、少数ですが新前橋区所属車がありました。
 全車とも115系との併結が可能な200番台ですが、新前橋車7両のうち204〜207がクモユニ74ではおなじみの車体四隅にR付、残りの211〜213はクモユニ74100番台からの改造車で車体のRがなくクモニ83のような完全切妻車です。模型は完全切妻仕様で製作しました。
 床板はKATOのモハ80用を切継いで使用しましたが、両エンドともヘッド/テールライト点灯式となっているためかなんとなく腰高のような感じです。ボルスター部を少し削るとちょうどよくなるかもしれません。





 
クモユニ82051

 クモユニ82というと中央東線のスカ色のイメージが強い電車ですが、若干数ながら湘南色の50番台がありました。わずか2両のグループで、車体はクモユニ82 0番台と同様の車体を持っています。この車両も前述の項で述べた運用が組まれました。

 車体はGMキットのクモニ83ををそのままストレートに組み立てています。クモニ83とは一見全くの別形式のように見えますが、実は実車同様中央部にある窓を片側3ヶ所ずつ合計6ヶ所埋めているだけです。キットでは何故か一段奥に引っ込んでいる乗務員扉は試作的にタヴァサの乗務員扉PN-409に交換してとりあえずツライチにしています。

 模型では動力車となっています。KATOのクモニ83用をそのまま流用し、カプラーはTM密連に改造してあります。動力装置を押さえるツメは設けておらずそのまま持ち上げると動力装置が抜けてしまいますので両面テープで固定しています。ヘッド/テールライトは既製品のまま組み込んでありますが、ヘッドライトレンズ周辺の処理がうまくいかずレンズ周辺のパーツ取付は今のところ省略しています。
 パンタは2台装備仕様です。



 実車は1975年にクモハ73から改造された車両でクモユニ82の中でも最も遅く登場した車両でしたが、57-11改正で運用がなくなり中央東線用の0・800番台よりも先に廃車となってしまいました。

では、改造の詳細を以下に記します。



1. 〜クモニ83改造のショートストーリー〜
(2003年8月〜10月、2006年10月撮影)


 クモニ83の改造はかなり複雑です・・・
 改造はこんな感じでやってます。



 まずは先頭部分です。

 画像でおわかりと思いますが、左のクモニ83802は運転台が少し低いのでヘッドライトの高さは変えずに運転台から上の部分を約0.5mm下げます。

 また前面ガラスをはめ込み式とするため、2本のピラーとHゴム部分は思い切って切り取ってしまい、ヤスリで平滑に仕上げます。

 グロベンとパンタ碍子は銀河製です。

 ヘッド/テール用の穴あけは正確にセンターを出してとりあえず0.3mmで穴あけを行い、以後数回にわけて所定の大きさになるまで穴あけを繰り返します。















 車体の切り継ぎの様子です。
 見せない方がいいかな・・・と思いましたが(笑)・・・使えるパーツは何でも使うという感じになっています(笑)
 乗務員扉はキットのままでは1段奥にひっこんだ状態でイマイチ実車の感じが出ていなかったので、扉部分をくり抜いてKATOのクハ103京浜東北線から切り取ったものを接着しました。
 R窓の加工ですが、詳細な寸法がわからなかったのでとりあえず四隅を瞬間接着剤とプラパテを用いて埋めてしまい、ピンバイスで隅のRが出るようヤスリ代わりに使用して加工しました。









 クモニ83802用屋根の切り継ぎです。
 GMモハ114-0番台用2個を使用し、画像のように切り継いでいます。

 クモニ83002の方はキット素組みなので説明書通りに屋根上機器を配置しました。











 切り継ぎが終了し下地塗装後の状態です。

 左側のクモニ83802ですが、雨樋は切り継ぎ終了後一旦全て切り取ってしまい、鉄ヤスリで雨樋部分を軽く斜めに削り取った後に改めてプラ板で雨樋を表現します。


 下地塗装はねずみ色1号を使用しています。この段階で車体の傷やひずみ・接着不足部分の修正を行い、本塗装(湘南色)に入ります。
 塗装は黄かん色→緑2号→ねずみ色1号(屋根)の順です。















 完成後の画像です。

































 最後に床下です。

 前述の通り、モハ80とクハ210のものを切り継ぎます。

 画像ではちょっとわかりづらいですが、床下の接合部分において破損防止のために周りから見えない位置で補強を施しています。

 カプラーは台車のカプラーポケットの長さの関係から通常のカプラーが使用出来ないため、TM蜜連マウントタイプを接着しました。
 そのため台車のブレーキシューを一部切り取るはめに・・・
















2.クモニ143を種車としてクモユ141を作る


 長野にも長岡にも所属するクモユ141を作りました。実車は向きが違うだけで長野・長岡車とも実質同一です(長野車が併結相手の信越線115系に合わせて逆向き配置になっている)。

 種車は外観が比較的似ているクモニ143を選びました。真っ先にクモユニ82の改造で・・・というのが思いつきます。2016年現在ではGMからは組立キットが、KATOからは完成品が製品化されており窓配置が似ているので流用出来そうな感じですが、よく見ると雨樋の高さがクモユニ82800番台らしく低い位置にあるため郵便室の明かり取り用窓が小形になっており、また雨樋の高さ修正が必要です。さらに一部の窓の形状が異なっており窓割変更だけでもクモユニ82を種車にするのはかえって面倒な気がします。

 ・・・そこでオユ10の車体の一部を移植する改造に落ち着きました。


 まずは参考までにクモユ141の図面です。

(1976年 誠文堂新光社 刊   新版 国鉄電車 ガイドブック 新性能電車 直流編 より)


  ・用意するもの(1両分、下記1〜3・8はKATO製)

  1.クモニ143       1両
  2.オユ10車体Assy  2両分
  3.AU12S        4個
  4.PB-102 押込形ベンチレータ  5個(TOMIX製)
  5.PN-499 ホイッスルカバー  2個(タヴァサ製)
  6.PN-469 郵便車用排気ダクト 2個(タヴァサ製)
  7.PN-1438  クモユ141手すり・配管セット(タヴァサ製)

  8.モハ103非冷房屋根  1個
  9.信号炎管  2個(銀河製)
  10.塗料 緑2号、黄かん色、ねずみ色1号





 まずはクモニ143およびオユ10の車体を画像のように切り継ぎます。寸法は概算です。屋根は接着しています。
 クモニ143の車体は改造に着手する前に塗装の全剥離を行っています。



 クモニとオユでは天地方向の寸法が異なりますので雨樋を基準にします。そのため、車体裾部分に約0.1mm程度の段差が出来ます。


 屋根板ですが、クモニ143用を使用すると簡単のように思いますが、クモユ141は1967(昭和42)年に登場した車両で、車体設計が変更となった後に登場したクモニ143とは屋根のRの処理方法が若干異なります。


 そこで、寸法的に似た感じのKATO103系(非冷房仕様の初期製品)を使用しました。


 各部寸法ですが実車の寸法から割り出し、小数第2位で四捨五入して0.1mm単位としています。0.1mm単位で切継ぐのは極めて困難なので寸法チェックの際はノギスを使用してなるべく近づけるようにしています。




 前述のように、オユ10とクモニ143をそのまま切り継ぐと車体裾に段差が出来ます。

 そこで、t=0.1〜0.2程度のプラ板(帯状の製品が使いやすい)で段差を埋めます。

 ゴム系接着剤で大体の位置決めを行ない、修正してから瞬間接着剤を盛ります。固着したら数回に分けて平滑に仕上げます。

 最後に鉄ヤスリで寸法を揃えます。







 さて、最もクモユ141らしさを表現する上で一番大事な部分である先頭部(左図の赤丸で囲った部分)の加工です。

 屋根板は前述の通りモハ103用を使用しますのでどうしても先頭部に隙間が出来ます。そこで、瞬間接着剤を隙間部分に何回か盛ってパテの代用とし、乾燥してから周りのモールドを傷つけぬようシャープに仕上げます。なお、接着剤を盛る時は周りの余計な部分に流れないよう注意が必要です。私は6回ほど塗り重ねました。

 この作業で通常のプラパテを使用しない理由ですが、クモユ141らしさを出すために前頭部と屋根の境目はシャープに仕上げる必要があり、プラパテを使用すると完成後に誤って落としたりぶつけたりして境目が欠ける恐れがあるためです。強度の関係で瞬間接着剤を使用しています。


 ヘッドライトの隣にあるタイフォンは全て削り取ります。削る時にカッターナイフを使用すると絶対他の部分まで削ってしまう確率が高いので私はデザインナイフを使用しました。削り取ったあとはパテで仕上げます。












 屋根の加工に移ります。

 モハ103グロベン孔は全て塞ぎ、鉄ヤスリ等で荒削りの後溶剤で薄く溶いたパテを塗っては#400程度のサンドペーパで仕上げる作業を何度か行ない、完全に平滑にした上で屋根パーツの位置決めを行ないます。

 画像はAU12S取付用台座(全て自作、中心孔はφ2.0+α)、押込形ベンチレータ、ホイッスルカバー等のパーツを全て取り付け、車体側面はパテ仕上げの途中の様子です。












 車体全周に亘ってパテ仕上げを行ない、車体側面にMM冷却用グリルを取り付けます。1両に付き4ヶ所です。



 私はいつもこんな感じに切り継いでいます。


 この後塗装します。黄かん色→緑2号→ねずみ色1号の順です。








 塗装が完了し塗装の修正や細部塗装が終わったところです。














 屋根関係の使用部品を示します。

 個数は1両あたりの使用数です。パンタと避雷器は種車からの流用です。
















3.クモユニ143の改造製作


 
3-1 クモニ143を種車にする場合

 KATOのクモニ143を種車として改造しました。前項のクモユ141よりは改造規模が大幅に小さくて済みます。

 画像は更新修繕時に撮影したもので、車体は塗装全剥離を行なっています。寸法は全て鉄道ファン誌(81年10月号)の形式図を参考にしました。









 屋根はクモユ141の場合とは異なり接着しておらず、車体関係の部品構成は製品のままで屋根は外せる構造になっています。


 改造は1パン化がメインで種車のベンチレータと第2パンタ付近のモールドは一旦全て撤去し、第2パンタ用の取付孔を埋めて屋根全体を仕上げてからクモユニ143に合わせてベンチレータと排気ダクトを配置します。

 第1パンタ付近のモールドは製品のままです。













 
3-2 クモユニ147を種車にする場合

 クモユニ147を種車にする場合はもっと簡単で、クモユニ143化の改造工程はどちらかというと車体よりも床下の方がメインになります。

 ワタシが所有する荷電は全車対象にTN密連が装備されているので、他車に合わせてTN密連化を行っています。

 製品のKATOカプラー密連は最近登場した新型 (連結器モールドの下にフックが付いていない) のものですが、これを撤去してTOMIX製のTN密連に変更します。カプラー本体はKATO密連よりも図体がデカく、走行中カーブで台車が首を振るとカプラー本体と干渉しそうなので台車は製品とは逆向きに取り付けています。スカートはクモニ143用の流用でカプラー取付座部分を切断し、接着剤を塗る部分の表面を荒らしてプライマーを塗る下地処理を行なってから瞬着で固定します。

 詳細を以下の図に示します。






4.室内灯取付改造


 一部の車両には自作の室内灯を取り付けています。
 製品のような導光用レンズは使用していませんので、1両に付き2個を使用して室内の両端から照明する方法を採っています。
 画像はクモニ143とクモユ141の例です。







〜最後に〜

 国鉄荷物電車は現存する車両がほとんどないので実車を調査することができません。資料だけが頼りとなります。
この車両たちは57-11改正前の高崎線上野口115系には欠かせない存在で、完成品もクモニ143だけでつまらないので今回の改造に踏切りました。

 今回はクモニ143と連結しても違和感がないよう全車両がクモニ143レベルに極力合わせています。そのため比較的手のかかる改造となってしまいました。
お手軽に・・・と考えている方は窓ガラスだけはめこみ式にするか、場合によってはキットのままでもよろしいかと思います。


<参考文献>
・国鉄電車ガイドブック新性能電車 直流編  誠文堂新光社 1976
・鉄道ファン 81-10  クモユニ143・115系2000番台  交友社 1981
・鉄道ファン 83-6   クモユニ147  交友社 1983

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